キクラゲはなんと書く 後編
○この記事は前編の続きです。○
私とキクラゲの因縁に関して長々と説明したところで、物語を展開させてゆきましょう。
「卵とキクラゲの炒め物を食べるんや!」という強い気持ちに支配された私は近所の八百屋さんに駆け込み、人生で初めて「生キクラゲ」なるものを購入しました。
今までキクラゲというものは、調理「後」の姿しか見たことがなかった私は、舞茸のように一房ごとに形取るフルボディ・オブ・キクラゲを実際に見ることでやっと「ほんまにキノコなんやな」と実感することが出来たのでした。
帰宅を果たし、根本(石づきと言うらしい)を切り落とし、私はついに最高の一皿を作り出すべく調理を開始しました。
そして、静寂はいつも唐突に。
ベストな食感を目指しキクラゲの切り方を模索する中で突然、私はある「違和感」を感じ始めたのです。
「あれ………?なんか……….
触り心地良すぎるというか……これ………触ったことあるな…………。」と。
初めて「素材」としてのキクラゲに触れたはずなのに、それはそれは明らかに私の手に馴染みのある感覚だったのです。
フニフニ。フニフニ。フニフニ。
え〜〜〜〜〜〜〜〜?!!?!何?!?!!??
身の回りにキクラゲみたいな触り心地の物体、皆さんは思いつきますか?確かにNCTのマークさんはキクラゲのことを「𝑱𝑬𝑳𝑳𝒀みたいなやつ 」と形容していましたが……。
摩訶不思議な感覚に陥ってしまった私は、ありとあらゆる記憶を呼び寄せ、「ソレ」が何であるのかを思い出そうとしました。
柔らかく、適度に弾力があり、そして手に収まるサイズ。フニフニという表現がぴったりの何かで、触り慣れているモノ…。髪を耳にかけるという自分の癖を繰り返しながら、料理を放棄し、一心不乱に考えました。
ふとピアスが髪に引っかかり、絡んだ髪をチマチマと解く過程で、なにかに触れたわたしはそっと指を窄めて感触を確かめました。そして、突如として、「ソレ」が何かに気づいてしまったのです。
あーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
これやんけ!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
耳だったのです。
私がキクラゲに既触感を覚えた正体は、「自身の耳」だったのです。
調べてみると、キクラゲを漢字で書くと「木耳」。耳の「形」に似ているから、と言う理由でそう名付けられたそうです。(※諸説あり)
しかしどうでしょう。
通常の人より軟骨の部分までかなり柔らかく、サイズも小さい私の耳は、形どころか感触まで似てしまっています。なんの奇跡なのでしょうか。耳界のガチキクラゲ枠は絶対に私が頂きたい。
健康生活から中華料理への誘い、そしてわざわざマイナーな一品を選んだ果てに、食材の由来を身をもって感じたこの一連の流れ。クソデカ伏線回収。世界一無駄な奇跡。あまりのくだらなさに思い出し笑いをしてしまうエピソードが、今のささやかな癒しになっていたという、そんな落語みたいなオチです。
皆様も、生キクラゲを触る機会があれば是非ご自身の耳と比較してみて下さい。案内似てますよ。
では。
(最初は、はてなブログの「お題」なる項目に「簡単レシピ」というものがあったので書き始めていたのですが、いつの間にか耳キクラゲの話にすり替わっていました。)